草だけで育った牛を煮込む。
2010年 01月 22日
北海道の某大学の研究牧場とは言え、
350haもの土地に200数十頭の牛を放牧して、
そこの草地の草だけで、それらの牛を育てている。
つまり、穀物や配合飼料を与えてない畜産なのだ。
しかも、それらの草は、全部自給自足、
それが、どういうことなのか、一般には分かりづらいが、
オレたち肉屋や畜産に関わるひと達からすると、
「うわぁ~、そこまでやるかぁ~」と言うくらいの衝撃である。
牛は、元々草食動物である。
ところが、そこにサシを入れようとして、
よりカロリーが高い穀物や配合飼料を与えているのが今の現状だ。
それを本来の草だけ、夏は放牧で大豆系と稲系の草を、
冬には、夏に刈った草をサイレージで発酵させて与える。
だから、牛はたいへん健康に育つのである。
ただ、肉として、
健康が牛が旨いかと言うと、これはそうも言えないのである。
まず、サシは入らないから、真っ赤な赤身肉、
通常の黒毛和牛が、A5とかA4とかの格付けをされるが、
ここの牛の格付けは、サシもなければ、骨も太くて歩留まりが良くなく、
C2とかB1だなんて、とてもテーブルミートにはならない格付けになってしまう。
それでも、ここの牛が引く手数多なのは、
その肉に力があるからである。
「肉に力がある」、なんとも表現し辛いが、
簡単に言うと、「肉を喰ってる」感があるのだ。
そのバラ肉を、赤ワインで煮込み、
北海道だからって訳じゃないけど、ジャガイモのピューレを敷き、
マデラソースにポートワインを足して詰めたソースを回しかけた。
バラ肉の筋肉繊維が、赤ワインでほぐされ、
肉の濃い味とマデラソースが染込んだジャガイモピューレが、
口の中で、いい感じに合わさる。
そして、微かにずうっと向うの方から草の匂いがする。
さあて、これをスーパーの店頭で、どう売っていこうかと言うことだが、
レストランと違い、肉の見た目がこんなに良くない肉を売るのは至難である。
ただ、自給自足の草だけを飼料にして育った牛肉、
苦労して売るだけの価値は充分にあると思うし、
こういう肉を探してきて売ることこそ、
バイヤー冥利に尽きるというもんだろう。
タイムリーですね。
そう言えば、そうかも。
と、すると・・・
サスカチュワン産の肉牛が大注目されるかも!
これはスゴイ!
・・・ところで、巻物って、干草ロールのことだよね?
う○ちじゃないですよね。
神楽坂の某イタリアン・・・読みましたよ。
でもね、いっちゃん、オレのとはちょっと学校が違うみたいよ。
オレのは、同じ北海道でも北大よりもう少し南の大学なんです。
でも、同じような研究してるひと達がいて、
業態は違えど、同じように注目してるひと達がいるってことは・・・
ブレイクかも!
これは、天の意思です。
ちなみにウチのが、いっちゃんと同じ赤ワイン煮込みに、狂喜乱舞して喜んでましたよ。