豚のバラ肉を鉄板で焼いて喰う。
2009年 01月 19日
取引先の業者が豚肉を持ち込んで来た。
「う~ん、お腹いっぱいなんだけどなあ~」とか言いながら、
テストキッチンで鉄板を温め出すと、
「お~、なに焼くんだよ」と、
午後イチの役員プレゼンの準備をしていたフルーツのバイヤーさんが覗きにくる。
ウチで扱っている豚肉の中で、一番単価が高い豚肉の月に一回の定期試食。
ちなみに、このバラ肉は100g¥358する。
普通の豚バラ肉が100gあたり¥178とか¥188だから、ほぼ倍の値段だ。
こんな不景気に、そんな高い豚肉がと思うだろうが、
これが、なかなか需要が落ちずに売れている。
不要なものは一切売れなくなってきているが、
物によっては、こういう高級品でも売れているものもあるのだ。
アツアツの鉄板に軽く塩胡椒したバラ肉を乗せ、
表面を炙るようにして焼く。
この豚、独特の芳香を上げながら、
鮮紅色からピンクに色が変わってきたバラ肉を喰う。
年が明けてから、
豚の枝肉相場の下落が激しい。
ついに安定基準価の400円を割ってしまって、先週末には355円。
とてもじゃないが、こんな豚価では農家さんは大赤字だろう。
逆に末端の我々にとっては、またとない利益確保の機会。
ただ、それも売れたらの話しだが。
なんでこんなに相場が安いのか、
秋口からの天気が好天でしかも温かかったから、
豚が病気もせずにすくすく育ったとか、
冬になって空気が乾燥してきて気管系の病気になりやすい豚に、
特効薬と言われているサーコワクチンの効果が出てきて、
生体の歩留まりが良くなって出荷頭数が増えているとか、
輸入物の凍結在庫が結構あるとか、
円高で輸入のチルドが増えているとか、
まあ、いろいろ供給サイドの理由付けはあるだろうが、
結局は、売れてないから相場も安い。
行き着くとこは、そんなとこってことが現場にいる実感だ。
ちなみに、100g¥358のこのバラ肉、
こいつは、相場で買うことは出来ない。
年間の単価が決まっていて、
今の枝肉相場から正肉単価を計算すると通常豚の3倍の原価になる。
まあ、そのくらいの価値があるということだ。
バラ肉は、その豚肉を評価する場合、一番、評価しやすい部位だ。
ただ普通、試食には、そのバラ肉をしゃぶしゃぶにする場合が多い。
バラ肉をしゃぶしゃぶにすると、
脂の甘さや筋肉の旨さをダイレクトに評価できるからだ。
でも、きょうのは鉄板焼き。
だって、お昼ご飯食べたばかりだからだ。
しゃぶしゃぶじゃあ、お腹一杯のあとに、
「喰いたい」というモチベーションが上がらないからだ。
焼きの匂いがテストキッチンから外に漏れ出していくと、
昼めしから帰ってきた連中が、
「おいおい」と匂いに釣られてやってくる。
なんとなく春のような陽気の昼すぎ、
キッチンの窓を開けて、
青空の中を舞う焼き煙を見ていると、
「さあ、もうお仕事終わろうか」とか、
フルーツのプレゼンにやってきた役員さんが、
「う~ん」と背伸びしながら小声で言っていた。
このブログは香りまで運んでくれるのか??ありがたいな。
それにしても豚ばらで100グラム¥358とはすごい価格でございます。
さぞお味もすごいのでしょうね。役員さんそんな気持ちにさせるんですもの。