
来月の和牛の買い付けに岩手に入っていた。
岩手と言っても、牧場は盛岡から車で2時間くらいの山の中、
かなり内陸地だから、去年の震災の痕はまるでなかったけど、
驚いたことに、一昨日から当地の新聞の一面トップには、
静岡、島田市の文字が大きく載っていた。
内容はというと、静岡県の島田市が岩手の震災ガレキの処分を受入れるという記事。
どこも引き受け先がない震災ガレキ、
放射線を浴びてしまった福島はなんとなく仕方ないけど、
まるで放射線とは関係がない岩手のガレキでも、
その引き受け先がなくて困っているらしい。
そこに、島田市が引き受けると言い出したものだから、
出元の岩手では、大歓迎のトップ記事になっていた。
そりゃあ、島田市は大英断だと思うが、
それを反対する人たちのことも載っていて、
それが、どうにもいやあ~な雰囲気なのには、ちょっと驚いてしまった。
その記事によると、受け入れに反対で市役所に乗り込んできたのは、
地元の市民とかじゃなくて、県外からやってきた反原発とかの活動家達だというのだ。
例の元俳優さんもその中にいたらしいが、
反原発なら東電とかにデモに行けばよさそうなのに、
元々「放射線はありませんよ」と言っているガレキの受入れ自治体に押し掛けるとは、
そのヒステリックな叫びに、遠くで見ていてちょっと不気味な感じもした。

さて、岩手の牛さんたち、
木造で掃除が行き届いたきれいな牛舎で、のびのびと育っているのだが、
外気温はマイナス10℃近く、牛舎の中でも氷点下。
元々、寒さには強い牛さんたち、
寒いだろうと暖房とかを入れると、逆に乾燥した空気で風邪をひいてしまうらしい。

だから、生後まだ数か月の仔牛たちにも暖房はなく、
飲み水だけが若干の温水になっているだけ。

牧場は姫神山の西麓にあり、標高は1000メートルに近い、
そのため、この時期には一日の内に三寒四温があり、
天候は吹雪から晴天まで、目まぐるしく変化する。
さっきまで向かいに岩手山が大きく見えていたのに、
いつの間にか吹雪。
牧場までの山道は、あっという間に雪で覆われて四駆でも進めなくなる。

まあ、そんなとこまでよう来てくださったという意味だろうか、
着くなり舞茸蕎麦が歓迎してくれた。

昼にはちょっと早い時間、
それでも、牧場のスタッフが手造りしてくれたあったかい蕎麦は、
3分も外を歩くと冷え切ってしまう体に嬉しい。
具の白舞茸は、牧場から出る堆肥で作った床で栽培しているという。
ちょっと東北らしくない、清んで淡泊なツユに、
これも牧場自家栽培の蕎麦は、
しっかり皮を挽いているから真っ白に近く、すっきりとしている。

そして、一頻商談と牧場内の視察を終えたあと、
地元の料理屋さんからの出前は、焼きうどん。
B-1グランプリにも出たという地元自慢の焼きうどんらしいのだが、
特徴はトッピングで上に乗った坦々麺の肉味噌みたいのと、
大きめのニンニクスライスと赤唐辛子で、
かなり辛目の味付けになっている。
ただ、その由来とかは、牧場のスタッフ誰も知らず、
「ホントに地元ご飯」とか、「無理に作ってない」とか言われる始末。

さらにの極め付けは、夜の牧場のスタッフたちとの会食。
こっちは、その辺の道端の居酒屋で、地元の酒を地元の肴でと思っていたが、
牧場のあまりの気の使いようで、なんとフレンチのコース料理という羽目に。
あまりにあまりで、写真はそこの牧場の牛のイチボを使ったタタキの握り寿司だけに。
こんな時期に、牧場まで来て牛を買ってくれる静岡の人たちと、
震災のガレキを受入れてくれる静岡の街が、
どこかでダブってしまったのか、
初対面でもないし、知らない間柄でもないのに、
その異常な気の使い方が、
なんとなく申し訳なく感じてしまうほど、
またその不器用な様が、それはそれで東北の人たちらしいのかな。
大吹雪とフレンチのコースの途中で出てきたタタキの握りが、
妙に印象に残った岩手沼宮内、
また、夏に来る約束までしてしまった。