2014年 08月 28日
オカマのマリちゃん。 |

「裏のマリちゃんがきのう亡くなったんだって」と向こうの客と話しをしている。
オヤジがこっちに来た序でに、「それって、オカマのマリちゃん?」
と、聞いてみると、「そうだ」と言う。
オカマのマリちゃんとはもう20数年来のお付き合い。
まだ、小僧だったオレが初めての海外駐在になる時には、
成田の出発ロビーで、オカマのくせに出立ちエールを切ってくれた。
その後、オレがシンガポールに転勤になると、
ここぞとばかり、店の連中にプラス愛人たちを従えてシンガポールにやってきた。
あの時のチャンギの到着ロビーの喧噪は、今でも語り草だ。
何しろ、バゲッジクレームで待っている間に、
全員で化粧し、着替えて、変身したオカマが、ぞろぞろと出てきたのだから・・・
今でこそ、世間ズレしているシンガポールでも、
94年くらいのシンガポールでは、
あいつらを取り締まる法律すらなかったに違いない。
そんな連中をワンボックスに乗せ、
チャンギをあとににしたオレは、ローカル的には何者に見えたのだろう。
その日から数日間、オカマの団体を引き連れて、
シンガポールの観光地を練り歩いた訳だが、
会社には、なんて休暇届をしたのか記憶はなく、
オカマにも、いい加減な社員にも、
素晴らしく寛容な良い時代であったことには違いない。
あれから20年。
当然のごとく、マリちゃんもオレも歳を取る。
数年に一回くらい、思い出したように店を訪ねたが、
マリちゃんの記憶の中には、もうオレはいないらしいことは、すぐに分かった。
水商売の儚さ、やるせなさだろう。
聞くとこによると、マリちゃんは肝臓癌だったらしい。
あれだけ呑んで楽しんでいれば、
こういう結果も、ある意味本望だったかも知れない。
ただ、本望とか言いながらも、
「こういう風にしか生きられないんだよ」と、言ってるマリちゃんもいる。
61歳。
秋刀魚の塩焼きは、マリちゃんの大好物だった。
合掌。
by tadano_buta
| 2014-08-28 22:32
| 日常のこと
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