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すし處 氣市 静岡市川辺町

「たまには寿司でも喰おうか」と立ち寄った実家の近所にある寿司屋。
カウンターに座るなり「7年ぶりです」と言ってはみたものの、
「あぁ、そうですか」と返すだけの店主。
実家にいた頃に、2、3度寄ったことがあるだけの店に、
なぜ寄ろうと思ったのか、自分でもさっぱり不明だが、
「7年ぶりです」と言われた店主だって、そりゃあ困ってしまうだろう。

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思い出してみると、
寿司屋のカウンターで飲みだしたのは30代の前半だった頃。
シンガポールのオーチャードにあったショッピングビル、ラッキープラザの地下、
どちらかと言うと、ローカル色が強いそのビルは、
「ニセモノドケイアルヨ」の客引きにあった観光客をたまに見かけるだけで、
ほとんど、日本人が立ち入るようなビルではなかった。
その「ニセモノドケイ」の店の奥のエスカレーターの陰に「吉田寿し」はあった。
人のいい店主の吉田さんに惹かれて、L字型のカウンターだけのお店でも、
JALやANAのオネーサン方も来るほど、
現地の日本人には知られた店だった。
まあ、商売人というよりは職人肌の吉田さん、
その頃より10年、商売が大きくなっているとは思えないが、
元気で美味しいお寿司を今でも握っていることだろう。

その吉田さんの握っていた寿司が、所謂江戸前寿司。
ほとんどのネタに仕事のしてある寿司だ。
鯖やこはだは酢で〆、穴子や蛤は煮て、
平目は昆布〆、鮪は漬けというような具合だ。
最近では、鮮度勝負、ネタの大きさ勝負、または奇抜さ勝負のような店も多いが、
オレは、どうにもこの江戸前のきっちり仕事がしてある寿司が好きだ。
最初に馴染んだ吉田さんの寿司の影響が大きいんだろう。

氣市の寿司も、きっちり仕事がしてある。
鯖やこはだ酢〆になっているのはもちろん、
平目は柚子塩、車海老も煮切りを塗ってあるし、
鯛なんか、湯引きした鯛を漬けにしてある。
舎利は小さく、ネタの味を損なわないぐらいのほどよい酢加減だ。

すし處 氣市 静岡市川辺町_d0116173_212719.jpgすし處 氣市 静岡市川辺町_d0116173_2123061.jpgすし處 氣市 静岡市川辺町_d0116173_213410.jpg










当時のシンガポールの寿司屋で使うネタは、
もちろん、築地からの空輸がほとんどだったが、
一部、インドネシアからの冷凍物を使う店もあった。
インドネシアには寿司ネタに使う鮪やイカやタコも揚がるし、
エビの養殖は当時世界一だったりして、
大手の回転寿司チェーンのネタ工場があったくらいで、
日本にも結構輸出されていた。
そう言えば、ジャカルタのミッドプラザに「力亭(ちからてい)」という寿司屋があって、
女将さんがとても気さくないいひとで、
まだ20代だったオレは、その女将さんに会いたくて行ったりしたが、
数年経って行ってみると、きれいなカウンターの寿司屋は、
無残にも、テーブルがいっぱい並ぶただの居酒屋になっていて、
たいへんがっかりしたのを思い出したが、
今も、力亭とかブロックMとかは健在なんだろうか。

ところで氣市、
連れは蛸の煮方をしきりに大将に聞いていたが、
ここの大将、確か「すし屋の市」で握っていたことを思い出し、
そう言えば、すし屋の市にも行ってないなあとか、
久しぶりに寄った寿司屋で、
いろんな昔のことを思い出し、
それはそれでいいが、
「オレも歳を取ったなあ」と、
帰り道の足取りが結構重いことにも気づいてしまった。


すし處 氣市 静岡市川辺町_d0116173_2153184.jpgすし處 氣市
静岡市葵区川辺町2-2-3
TEL;054-221-7730
11:30~13:30
17:00~25:00
木曜休
散々喰って呑んで、ひとり¥10,000ちょっと。
Commented by このみ at 2009-05-21 03:51 x
 読みながら、ブリュッセルの某板さんにちょっと不義理になっているのを思い出しました。
行かなくっちゃ...^^;

私は、好きなお店、好きな人とはよく食べられるけど、そうでなければ、全く食べられないこともあります。
でも、好きな人の前で、むしゃむしゃたくさん食べるのって、どうかと、今更ながら思いますが...。
Commented by taikomochi-otona at 2009-05-21 08:47
おはようございます。
「江戸前のきっちり仕事がしてある寿司が好き」とは、まことに御意の至り。
しかしワタクシ、意外と静岡で鮨をつまむことが少ないので、とても参考になりました。
まつなみの近くですね、きっと行きます。
Commented by kiri at 2009-05-22 06:04 x
山奥の訓練所に入って二ヶ月。
海の幸が恋しいです!!
この写真は・・・きついなぁ。笑
江戸前寿司の意味がわからなかったんですが
なるほど、そういうことなんですね。
Commented by tadano_buta at 2009-05-22 21:23
>このみさま、毎度。
ヨーロッパのお寿司ってどんなんでしょう。
ブリュッセルのお寿司屋さんって聞くと、やっぱりなんかお寿司も違ってくるような気がします。
好きな人の前でも、パクパクいっぱい食べることは悪いことじゃないと思いますよ。
Commented by tadano_buta at 2009-05-22 21:29
>太鼓持ちさま、毎度。
まつなみの目の前ですね。
静岡って意外と?なのか、美味しい寿司屋が少ないですね。
どこかお薦めの店があったら教えてください。
Commented by tadano_buta at 2009-05-22 21:41
>kiriちゃん、毎度。
山には山の美味しいものがあるじゃないですか。
山菜とか。
へへ。
江戸前寿司の元々の意味は、江戸前、つまり東京湾で揚がった魚介を種に握った寿司のことを言うんですよ。
でえ、そう言う寿司が種に仕事をしてあることが多いんで、仕事をしてある寿司を江戸前寿司って言うようになったんじゃないのかな。
たまには、街に下りるってことないの?
Commented by de buko at 2009-05-24 09:44 x
おいしそうですねぇ~!! 江戸から月に1度は駿河前?のお寿司に走ってしまうんです。 キッチリ仕事に加え、採れたものしかナイのが安心なんです。「今日はないですヨォ」という静岡アクセントで 我慢できます。
プロバンスへのタクシー乗り場の近くのF寿司さんなんですけど。
Commented by tadano_buta at 2009-05-24 14:31
>de bukoさま、毎度。
F寿司屋さん、先日お昼に行ってちらし寿司いただいてきました。
ここのは、もう正統派。
このひと言。
それゆえ、観光地にあっては物足りないってひともいるけど、
それはそれで、いいんじゃないの。
でもさあ、東京の方が美味しいお寿司屋さん多いんじゃないですか。
by tadano_buta | 2009-05-21 02:05 | 静岡で喰う | Comments(8)

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